『うたかた/サンクチュアリ』 吉本 ばなな評価 ☆☆☆☆☆☆☆ 星7個
あらすじ
うたかたは自由奔放な父とその父を一途に愛した母。そしてその娘が主人公の陸海人魚。最後に親に捨てられて人魚の父と住むことになった嵐の四人が登場人物。その四人が離れたり近づいたりしながら、愛情を感じていく物語。
サンクチュアリは共に大事な人を失った男女が出会い、死を見つめながら自分たちは何を思い、感じ、生きていくのか。
芸術選奨新人賞受賞作品。1988年の作品
書評
あらすじを紹介しましたが、正直言ってそれよりも文章からあふれ出てくる雰囲気を楽しむ作品かなと思います。人の悲しみや愛情って文字で表現するのは難しいですよね。この作品はそれをうまく出していると感じました。
『TUGUMI』ほどキャラが突出しているわけでもなく『キッチン』ほどドラマ性があるわけでもないですが、漠然とした感情をうまく色づけている物語だと思います。
部分的にはうたかたに出てくる嵐が小学生の頃に書いた小説がたまらなく魅力を感じました。とても面白そうな話でしたね。作家ってすごいなぁと馬鹿なコメントを思ってしまった。
ストーリーとかキャラクターとか構成とかよりもばななさんが書く文字の羅列から浮かび上がる雰囲気や映像を楽しむ作品なのかなと思っています。もちろん、当たり前のことかもしれませんが、特にこの作品はそういうものを楽しむ作品になりました。
『TUGUMI』や『キッチン』ほどではないにしろ、楽しめた作品でした。
『TUGUMI』 吉本 ばなな 著評価 星七個 (星十個中)
あらすじ
舞台は田舎の海の見える町。そこで主人公の白河まりあは、美少女ながらもとても病弱、しかし、それゆえ傍若無人に振舞う女の子つぐみと仲良くなる。その少女との出会いから始まり、まりあがその町に帰省したときまで、移ろいと淡い思い出が描かれる作品。
書評
まず、この本は以前TBしてもらったもみじさんからの紹介で読んでみました。吉本ばなな氏は『キッチン』で出会ったのですが、これがとてもおもしろかったので吉本ばなな氏をしばらく読もうかなと思ってこの作品を紹介してもらいました。ありがとうございます。
で、正直言って、『キッチン』のほうが面白かったという感じです。でもこれは『キッチン』を最初に読んだからかもしれません。やはり最初のインパクトはすごいですからね。
つぐみのキャラクターは僕はとても気に入りました。で、ネタバレになるので詳しくはいえませんが、この本の流れがとても好きです。ありきたりではなく、予想を裏切る展開でしたね。
あと、もう一点。こういうキャラクターが出てくる小説は最近うんざりしていました。伊坂幸太郎氏の砂漠やチルドレンを続けて読んだからかもしれません。面白かったんですけどね。こういう少し奇抜なキャラクターが言うことって少し強引な気がするんです。でもつぐみ含めこの本に出てくるキャラクターはとても優しい。もしかしたらばなな氏の文章がそういう印象を与えてくれてるのかも。これはキッチンと共通する点かな。
そんなわけで、キッチンほどではないにしてもとても優しく、気持ちよく読めた作品でした。評価も優しさの7(笑)

