『ゴールデンスランバー』 伊坂 幸太郎評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(満点)
内容紹介
仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか?
感想
久しぶりの伊坂氏の書き下ろし長編。大作ですね。
最近、短編集などが多かったり、雑誌連載をまとめたものであったりしたのですが、
やはり長編には長編の面白さがあります!
ほとんどの人が知っているケネディ暗殺事件の日本版といったら良いでしょうか。
それを犯人側からの視点で描いたときの事件の恐ろしさとマスコミや権力の大きさが
うまく描かれています。もちろんケネディ暗殺の真相などがわかるわけではないので
あしからず。あくまでケネディ暗殺を絡めることでリアリティを出すといった感じです。
映画の逃亡者を想像してみてもいいと思います。
相変わらず、キャラクターはしっかりと形成され、会話の妙は若干、近作と比べると減りましたが、伏線のうまさは衰えていません。
文章や舞台設定がとてもうまいので、頭の中ですぐに映像が浮かぶでしょう。
無駄なところが一切ない綺麗な文章だと僕は感じました。伊坂らしさがとても凝縮されている
と思います。
個人的にですが、伊坂氏が新潮社から出す本ははずれなしだと思います。
『オーデュボンの祈り』『重力ピエロ』『ラッシュライフ』。
編集者が素晴らしいのか、たまたまなのか。
去年の宮部みゆき氏の『名も無き毒』を読んだときも思いましたが、
ジャンルの壁を越えて、伊坂幸太郎という唯一無二のジャンルになったといってよいのでは。
隅をつつけば色々あるかもしれませんが、伊坂氏の傑作だといえます。
これ以上いうことありません。
他の人のレビューも高得点ばかりですね〜。すごい実力を魅せられました。
『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂 幸太郎評価 9(十段階)
あらすじ
確実に他人の嘘を見抜くリーダーを筆頭に、正確な体内時計の持ち主、演説の達人、天才スリという面々で組織されたギャング団が活躍する長編エンターテイメント。自分たちの美学に基づいて銀行強盗をしている。
しかし、ある銀行を襲った際、お金を奪って車で逃走したところまでは良かったが、そこで別の窃盗団が乗った車と接触事故を起こしてしまい、挙句の果てにお金を奪われてしまう。窃盗団の正体は?本当に偶然だったのか?
主軸のストーリーとともにいじめの問題やら自閉症などが絡まってくる。テンポ良く読ませて、映画を見ているかのような作品。
伊坂氏の本はもう5冊ほど読んでいますが、これが一番楽しめたと思います。
なによりも、キャラクターがとても魅力的に書かれています。個人的にうそばかりつく演説の達人が良かったと思います。京極氏の榎木津探偵を少し感じさせました。
地の分も相変わらずの出来です。だから伊坂氏が好きな人は楽しめるでしょう。
いつものように、伊坂氏の作品の共通項である『ボブ・ディラン』『犬』などが出てきます。
かなり、早く読めたのもリズム感が良かったせいでしょう。本当に映画を見ているような気分でしたね。軽いものなのでちょっとした時間に気軽に読めます。
ミステリーという点からみれば、少し伏線が見えすぎて謎を追求するという点では物足りなく感じるでしょう。結末も先にわかるかもしれません。
しかし、この作品はこれぐらいでいいと思います。幅広い人たちに受けると思います。
最初に伊坂氏を読むとしたら、この本を僕は薦めます。
もし、面白かったら、『オーデュボンの祈り』を読んでみてはいかかでしょうか?
『チルドレン』 伊坂幸太郎評価 8 (10段階)
2004年5月20日 発行
内容紹介
五作の短編集。互いにリンクしており、主人公は言動と行動が矛盾し
ながらも、筋の通った人物「陣内」
彼の周りで起こる(起こす?)哀しくも暖かい事件。
強烈なキャラクター陣内の魅力あふれる短編で出来た長編。
(わかりにくくてすみません)
最近、はまっている作家です。本となって世に出ているものはこれです
べて読み終えました。
チルドレンは伊坂氏の作品でいうと『陽気なギャング』に似た作品だと
僕は思います。なによりもキャラクターの魅力があふれている作品なので。
短編ならではのストーリー構成でしっかりと起承転結になっています。
落ちもしっかりついて、軽く読めると思います。
時系列になっていないのですが、一冊通じて読み終わったときには「陣内」の成長と生きる姿勢が読み取れると思います。
amazonで著者が
と言っていたのはこれが理由だと僕は解釈しました。「短編集のふりをした長編小説です」
伊坂氏の作品は短編集が多いです。文芸誌に投稿しているものが多くまだ本になっていないのもたくさんあるようです。確かに文芸誌でも楽しめるし本になっても楽しめる書き方だと思います。
有名な作家(芥川龍之介)のとても良い詩などが引用されているので、飾りつけもうまくしています。
少しネタばれになるかもしれませんが
『その罪を憎んでその人を憎まず』のくだりは最高でした。
『なるほど』と思いました。

