『サスツルギの亡霊』 神山 裕右 著評価 ☆☆☆☆☆☆☆ 星7個
あらすじ
三年前、南極大陸で行方不明となった兄から突然一枚の絵葉書が、弟である主人公に訪れる。兄に関わる謎を解くために主人公は南極へと行く。様々な意図が南極に集結し、事件は幕を開ける。
南極を舞台に悲しくも荒々しいストーリーが展開する冒険ミステリ!
江戸川乱歩賞最年少受賞の作家が描く第二弾!!
書評
新人作家さんの第二弾なので、一発屋なのか違うのかという判断もされるであろう作品です。
僕は全くいい意味で期待を裏切るところはありませんでした。前作の『カタコンベ』を受け継ぐ自然の壮大さやアクションの激しさ、展開の仕方などパワーアップしていると感じます。
似ている作家さんであれば、笹本稜平氏の作風と似ていると思います。『極点飛行』のような感じを想像してください。
以下、良かった点。
やはり前作の良さがしっかりと出ているといったところでしょうか。人物の感情の絡み合い、自然の雄大さ、アクションシーンの良さなどがしっかりと今回もあります。(ちなみに前作は洞窟を舞台としています)
今回に限っていえば、舞台が広くなったので、ストーリーの動きに幅が出てとても良かったと思います。舞台設定が南極(正確にいえば昭和基地周辺)という広い場所でもしっかりと広がりを持ち、それにも関わらずまとまりがある構成に仕上がっています。
少し、不満であった箇所もあります。しかし、これは期待するが故に注文をつけているだけで、結果としては満足しています。
その不満な点とは、最後に感じたことですが、少し人物を主人公に絡みすぎている気がします。犯人の動機などに関しても。それは伏線だけでは絶対わからないといった印象を受けました。
(これは僕が深く読めていないことが要因でもあります)
もう一点、もっと兄の描写を増やしてほしかった。読んだ印象ではとても興味を惹かれる人物設定だと思うので、もっと兄について知ることができれば、ストーリーに入り込めた気がします。
総合的に満足した本でした。笹本氏を好きな読者の方にもお奨めできると思います。不満な点もあえて挙げただけです。次回作に改善されていることを期待しています。まぁ、乱歩賞を取っているので未読の方にも安心して手に取って頂けると思います。

