『DEATHNOTE Another Note』西尾 維新 著評価 ☆☆☆☆☆☆(星6個)
あらすじ
漫画デスノートで触れられた「ロサンゼルスBB連続殺人事件」の物語。休職中であった南空ナオミのもとにLから事件を手伝ってくれと依頼が来る。その事件とは3人の連続殺人事件。それぞれ違った手法で殺され、部屋には藁人形が打ち付けられている。この犯人を捕まえるために南空ナオミが現場を徹底分析し事件のミッシングリンクを探していく。ナオミが現場に出会った人物は何者??BBとは何か??
新世代の作家西尾維新が描くデスノートのサイドストーリー
書評
一言で言えば、「可」という感じでしょうか。
帯には「あなたはLの伝説を見る」と書いてありますが、それは違うでしょう。ほとんど南空ナオミの物語を読んだ気分です。
確かにLのナオミをプロデュースした観察力や事件の俯瞰的な立場から解決した力はすごいかもしれませんが、Lを好きな人からすればがっくりしてしまう方も多いのではないでしょうか。
語り手は漫画にも出てきたメロを使っていますが、語り口も漫画のイメージとは違います。南空ナオミの心理描写も漫画とは違ってコミカルなものでした。すべてにおいて西尾維新らしさが出ているものです。
物語は完全なミステリとなっています。密室やミッシングリンクなどミステリ常連のものが扱われています。メインのトリックも使い古されているものです。ただ、このメインのトリックについてはデスノートのノベライズがゆえにといったところでしょうか。
すべてにおいて中途半端な気がしてなりません。
デスノートの設定が好きな方はただのおまけ感覚になってしまうと思います。僕もキャラよりも設定に魅力を感じていたので、少し残念な気持ちでした。
デスノートのキャラが好きな方(Lや特に南空ナオミ)は活躍した過去を垣間見れるということで、満足されるでしょう。しかし、L好きからすれば、どうなのだろうか??
西尾維新が好きな方は、あらゆる部分において西尾らしさが出ているので、楽しめると思います。デスノートのキャラもしっかりと西尾版になっていますので。
ミステリが好きな方は、普通なのかな。トリックも真新しいものではないので。ただどんでん返しのトリックについては少しアンフェアな気もします。すべての読者向けではないので。ただ、事件の謎が魅力的だったので、それを解決していく過程も楽しめるものだと思います。
(個人的に言えば、ミステリが好きな僕はデスノートの設定を使ってまた面白い作品を書いてくれると期待していた。デスノートの設定は謎解きに向いていると思うが。それは漫画でもうやっているということなのだろうか。)
総括
デスノートのノベライズということが互いを縛りあっているということでしょうか。あれだけ、キャラも西尾らしくするのなら、デスノートの時系列にこだわらなくてもいいのではと言った印象です。だから中途半端と感じるのかなと思いました。どれも魅力的だし、平均点は稼いでいるのですが、もう一歩。西尾好きな読者が一番良かったのかなと思います。
キャラのイメージについては個々で捉える印象がちがうものですから仕方がないのかもしれません。しかし、原作で南空ナオミはクールで優秀とLが言っていたはずなのですが…。
話題作がゆえに期待も大きかったのですが、少し不満が残ってしまいました。
最後にミステリ好きとして余計なお世話を。
この本は漫画のデスノートを読んでから、挑戦してみてください。(ほとんど読んでいる方ばかりだと思いますが)原作を読むか読まないかでひょっとすると大きく違ってくる部分があります。一応、そんなこともないように伏線がありますが、個人的に弱すぎると僕は思います。もっと引っ掛けるべきだと個人的には思いました。
レモン(小説)をすっぱくするか甘くするかの違いです。どうせならミラクルフルーツ(漫画)を食べてからレモン(小説)を丸かじりして甘く食べようとは思いませんか?

