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Category 『 乙一』

gunchocolate『銃とチョコレート』 乙一


評価 ☆☆☆☆☆☆★★★★(星6個)

講談社ミステリーランド 2100円

あらすじ

 少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた“GODIVA”の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。
 その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「“GODIVA”カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが…。

紹介
まだまだ若手の気鋭作家乙一のミステリーランドです。
故宇山氏企画のシリーズですが、今回も子供向けなの?と思わせるような感じになっていますね。

あらすじだけ読むと児童書っぽいんですが、本当はそうではなくとても正直に書かれた作品です。

残念ながら、乙一にしては辛い評価となってしまいました。
なによりもこの本では、乙一の味というものがありません。文体やストーリーからはお得意のせつなさや鋭い冷たさなどは感じられません。
乙一が初めての方にはあまりお奨めできません。
よってこのような減点をさせていただきました。

しかし、あとの星6個はなんなんだということですが、今回かなりミステリー風味となっています。
伏線や展開はそのものですので、ミステリー好きにはたまらないかも。
その点ではしっかりしていますね。
この部分を評価して星6個にしました。

他の作品が面白い分このような辛い評価になったと思ってくれてもよいです。

子供向けの部分で言えば、冒険ものや宝を目指して謎解きをしていく面白さがあります。
さらにチョコレートという題材を使って、怪盗GODIVAの正体を聞いたときは、子供は喜ぶと思いますよ。

少々、高いですが子供に読ませてみてもよいかも。
子供を持ったことがない僕が言うので、聞き流してほしいんですが、僕なら小学校高学年ぐらいで読ませて見るのもよいかも。
読んでみたらその理由がわかると思いますよ。


ミステリーランドについて思うこと

レビューなんかを読むと思うことは、たくさんの方がこれは本当に児童向けなのかという疑問を抱いている点。

で、僕もこのシリーズは6冊ぐらい読んでいるのですが、すべてにおいてそのような疑問がわくような感じです。とくに麻耶氏の『神様ゲーム』はとくに残虐です。

僕は、これはこういったコンセプトなのでは?と考えています。
いまいち、ターゲット層が明確でないのでわかりませんが、
大人が言うことややることがすべて正しいわけではない。そしてこの社会は善悪ではっきりと分かれるものではないし、勇気を持って自分で考えて生きていこうというメッセージかなと思っています。
少し、説教めいた部分がテーマになっていると思います。
まぁ、思春期を迎える時期にアン○○マンのような勧善懲悪ものを読んでいることはないでしょう。
年をとるごとに正しいと思うことや人が変わっていく。そんな現実の中で自分の立ち位置や明確な基準というものを考えさせるきっかけにしようとしているのかなと考えています。

 ミステリーランドは、この悪意と善行の共存した社会で、君(子供)はこのような姿勢を持つといいんじゃないか?といった、大人(子供を育てている親、またはこれから子を持つ大人)とその大人に育てられる子供に対するメッセージを、殺人が起きるミステリーを使って問いかけていると僕は今考えています。
良ければみなさんの意見も聞きたいので気軽にコメント&TBどうぞ。


追記

第23回うつにみや子ども賞受賞!
やはり大人の心配なんで杞憂ですね。一部分だけかもしれませんが、子供も評価しています。良いきっかけになればいいなぁ。
うつのみや子ども賞

以下、なんでもない日記↓
goth『GOTH』 乙一


講談社 HC 1500円 文庫 500/460円(分冊)

評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(星9個)

あらすじ
この世には殺す人間と殺される人間がいる。自分は前者だ―そう自覚する少年、「僕」。殺人鬼の足跡を辿り、その心に想像を巡らせる「GOTH」の本性を隠し、教室に潜んでいた「僕」だったが、あるとき級友の森野夜に見抜かれる。「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」という言葉で。圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、跳躍点というべき一作。

第三回本格ミステリ大賞受賞作品

紹介
wikipediaによるとどうやら、乙一は黒乙一と白乙一があるらしい。
黒乙一は残虐性などが色濃く出ている小説などを指す。ということはこのGOTHは黒乙一になる。

たしかにこの本の残虐性は少しきつい。少しきついからこそ現実味があって面白くなっている。
しかし、それだけでなく何より文体から滲み出る雰囲気が暗くて冷たいのです。その点を僕は高く評価した。キャラ設定なんかもライトノベル特有の10代にありがちなクールな設定なんだけど、それがいやみにならない。
というのも、一貫してGOTHの雰囲気を形作っているからなんだと思う。GOTHと言わなくても、単純に黒のイメージでも良い。そのイメージをすべての要素が作り上げている。
キャラクターが狙いすぎているやミステリにありがちなトリックだけ(個人的には好きなんですけどね)というわけでなく、すべてがまとまっているからこそ素晴らしい小説になった。

普段本になじみがない人にも断然おすすめであり、読みやすいし、ターゲット層は広いのでとても良い本だと思います。

また、本格ミステリ大賞ということで、ミステリ好きにもお奨めです。
トリックなどはありふれたものが多いですが、それでもうまく使っているなという印象ですね。

だからこそ、ミステリーを読まない方にお奨めしたい作品です。

ストーリー・キャラクター・トリックなど個々に見ていけば小粒なんだけど、それをまとめて評価すると単純に足しただけでなくとても面白い小説になっていると思います。

この小説を読んでミステリーが盛り上がればいいなと思っています。

黒乙一を味わいたい方は是非!

というか、紹介する必要もないぐらい有名ですが…
最後の一押しになればと思って。

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