『MM9』 山本 弘評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★(星8個)
内容紹介
地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。
多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説
感想
大人が読むガメラやゴジラなどの特撮小説と言った感じです。
本来、大人になるとあるいは大人の視点でみると現実で二本足の巨大な怪獣が立てない。大きくなっても質量保存の法則があるなどのタケコプターで首が××る的なつっ込みが入ってしまうのですが、この小説はある解釈でそれをうまくカバーしています。
まぁ、とんでもない方法なんですが。
まさに、本格SF+怪獣小説と言った感じです。僕はもう読んでいて楽しかったです。
年齢的にもすでにひねくれてしまっているが故に、特撮なんてって感じでしたがこれはそういう人にもお奨めです。
この小説の世界では、怪獣災害というものがあるんです。地震とかと同じように。
で、その災害に立ち向かうのが気象庁なんですが、この有川浩の図書館戦争にも似たエンタメ設定が読みやすく、SFを読まない方にもお奨めしたい。
あるいは、テレビで年に数回やっている藤岡弘探検隊などが好きなかたもいいかも?
あれより、真面目で(隊長らは至って真面目に見えますが)、スケールも大きい怪獣ものと
いった感じです。
UFO現象などに圧倒的な知識を持ち、『神様は沈黙せず』『アイの物語』で魅せた本格SF
のテクニックがあるからこそ、書ける小説。
楽しく読めました。良かったら是非。
『アイの物語』 山本 弘 著評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(満点)
あらすじ
数百年後の未来、機械に支配された地上で出会ったひとりの青年と美しきアンドロイド。
機械を憎む青年にアンドロイドが囁く、「物語から、この美しい世界は生まれたのよ」と。彼女が語り始めた、世界の本当の姿とは?
彼女が語る物語にヒトとAIの愛の歴史がある。その歴史は、人間同士の愛のように拒絶や依存そして、愛情が刻まれている。
『SFが読みたい! 2007年版』 国内SF第2位
『本の雑誌』2007年1月号〈本の雑誌が選ぶ2006年度ベスト10〉第3位
〈2006年度SFベスト10〉(鏡明)第3位
〈2006年度エンターテインメントベスト10〉(北上次郎)第2位
書評
SFを普段読まない方や僕のように読み出した方にお奨めの一品です。
『神は沈黙せず』のほうもお奨めなんですが、少し根気が必要だと思うのでこちらを紹介。
内容は連作短編集と言ってもよいでしょう。美しいアンドロイドが青年に話す7つの物語。
それはすべてヒトとAIの物語です。その物語を青年に話し終えたときに、7つの物語の意味や伝わらないAIの思いが浮き彫りになります。
一気に読めなくとも一つ一つ区切りながら読んでも素晴らしい作品です。
青年と同じように、一日に一つよんで、寝る前にその話を吟味するのもまた一興でしょう。
この現代でさえ、人工知能は一般レベルで興味のある話題だと思いませんか?
それこそ、本当に感情をもてるのか?あるいは人工知能はどの時点でAIと
定義されるのか?そして、もし感情というようなものを持ったら、彼らは
この世界をどのように感じ、接していくのか?
などふと疑問に思う方は是非読んでみてください。
もちろん、その答えが書いてあるわけではありません。しかし、その考えのきっかけやヒントになることでしょう。
そして、なによりもAIによって浮かび上がる人間の醜さや愛情の深さがとても印象的です。
あくまでAIの物語ですが、ヒトが作ったという「人工」である以上、ヒトとAIの関係は断ち切れません。
たぶん、読む人は青年と同化することになるでしょう。
青年は読者的視点に立っています。そして、その青年の立場になって物語を聞き終えたときに素晴らしい気持ちに浸れると思います。
活字が連なり、物語が紡ぎ、感情を浮かび上がらせる。
小説の面白さがあじわえる作品だと思います。
少し、難しい言葉もありますが問題はないと思う。
むしろ、何度も読める小説。話一つ一つのテーマが異なるので、
あなたの人生経験などによって好きな物語は変わってくるでしょう。
是非とも読んでみてください。

