『武装島田倉庫』 椎名 誠評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(満点)
概要
時はおそらく近未来。ある「戦後」の国境地帯。街や道路は破壊され、油泥にまみれた海には、異態進化した獰猛な生物が蠢く。
混沌としたこの世界に、組織略奪団や「北政府」と呼ばれる謎の勢力と闘いながら、たくましく生きる男たちがいた。頼れるものは、自らの肉体と才覚のみ―。異様だが、どこかノスタルジックな世界を、独特の言語感覚で描きだしたシーナ・ワールドの真骨頂。
感想
正直、この本を紹介しようか迷っていた。
というのも、どう紹介したらいいかわからなかったから。何がどのように面白いかうまく説明できない。でも、間違いなく僕のなかで傑作です。
この本はほとんど説明がない。この小説独特の専門用語が出てくるんだけど全部無説明。そして、テーマ性もわからない。読者を突き放した作品。
しかし、どのくらいの人かわからないけれど、この異形の世界に引き込まれると思う。
最初から何の導入もなく、異次元に読者を放り込む。
そして、わけのわからない語句や人間でいて現実世界とは少しずれた人間の会話に必死に耳を傾け、この世界を感じようとした。
おそらく、近未来。なにかしら戦争があって、世界は崩壊している。
最初はそれぐらいしか、わからない。しかし、圧倒的に突き放した文章はその世界を表す、理解させる唯一の接点となっている。
何かこの現実世界とは少しズレた次元に飛び込んだ感じである。
しかし、いつだって物語の主人公は導入部分なんてない。説明だってない。
この現実でさえ、生まれる前にこの世界はこういうものだからなんて説明は
ないだろう。
この小説もそうである。いきなり飛び込むのだ。突き放されようが、その世界を必死に感じ取ろうとする。
この小説に主人公はないけれど、まさに読者こそが主人公になりえると思う。
是非ともこの世界に飛び込んで欲しい。

