『凍りのくじら』 辻村 深月 著評価 星9個 (10個中)
あらすじ
藤子・F・不二雄の『ドラえもん』をとても愛している主人公の高校生、理帆子。彼女は出会った人にSFの略を利用して、「スコシ・ナントカ」(例 少し・腐敗)をつける癖がある。そんな彼女の前に一人の青年が現れる。父親が失踪し、母親が病気で入院しているという環境の中で彼女は青年によって、少しずつ癒していく。
しかし、理帆子の元彼氏によって、事態は急変していく。ドラえもんから得た感性で人とのつながりを描いていく。少し Fabulous(わくわくする)なミステリ。本の裏側から参照しました。
書評
まず、後ろの参考文献に惹かれた。
なかなか新鮮な響きだった。ドラえもんは誰でも知ってるし、親しみのあるアニメだ。そこから作者は何を感じたんだろうか?興味を持ったので図書館で借りることにした。この作者は少し敬遠しようと思っていた。詳しくはこちらドラえもんとそこに流れる哲学と優しさのすべて
読んでみると、とても面白かった。むしろ読んでいて面白かったというべきだろう。主人公が出会った人にどういう風に「少し・なんとか」をつけるのか?そして作中に出てくるドラえもんの話。章ごとにドラえもんの道具がテーマとなっている。読みながらわくわくしていた。
明らかに過去の作品とは違った。人物も魅力的だし、話の内容もありきたりかもしれないが、ドラえもんの存在によって魅力あふれるものとなっている。これなら買っても良かったと思えた。
少し、わがままを言えば、写真の表現をもっとうまく書いてくれたらなぁと思った。まぁ、これは自分が理解できなかっただけかもしれないけど。
ミステリーというジャンルではあるが、ミステリを読まない人にもお勧めできる作品。ドラえもんを知ってる人なら誰でもいけると僕は思う。
ということで、
評価は高めの星9個。
でここからはネタバレなんで、読んでない人はreadmoreに飛んでください。一応隠しておきます。(既読の方はドラッグ)
伏線の
「私の指がそれを押す」ってめちゃくちゃ違和感あったような・・・。わざとかな?読んでてすぐに気付いてしまった。
あと、個人的に思ったことなんですが別所あきらは理帆子にとってのドラえもんという設定なのかなと思いました。あくまで単なる印象ですが。読後感がとても良かったです。
しかし、こんな読書人間いるのかな・・・。読書しているからこんな人間になるのだろうか?主人公みたいに頭でっかちになる人にまだ出会ったことがないからわかりません。もしいたら、話は合わないような気がします。
『冷たい校舎の時は止まる』 辻村 深月 著評価 6
あらすじ
雪の振る日、学校に登校した8人の高校生が校舎に閉じ込められる。そして時間が止まる。なぜ僕らだけなのか?なぜ校舎に閉じ込められたのか?彼らは学園祭の最終日に起きた自殺事件に関連があることを突き止める。しかし、自殺した人物の名が思い出せない。この校舎から出る方法は一体何なのか?そしてなぜこうなったのか?
八人のそれぞれが描く青春長編ミステリー!!
書評
僕はこれが辻村氏の二番目に読んだ作品なのですが、かなり異色のミステリーかなと思います。心理描写もしっかりしていて、キャラクターがそれぞれ際立っています。少し、キャラが少女マンガのような感じはしましたが。
なによりもリアリティを感じたのはいじめの部分と女性の心理描写。とても詳しくいやらしく怖く書いていました。女性のいじめって一般的に卑劣だといわれていますが、なかなかリアルで怖かったです(笑)
文章の構成もうまい具合に書いています。ずっと同じ場面なので、少しダレタ頃に過去の話が入ってくるので読みやすかった。
もう少しコンパクトにしても良かったかなと思う。しかし、そこは3分冊ということもあって長く感じませんでした。
ただ少し気になった点が。
この主人公は作者自身のような気がしてならなかった。悲劇のヒロインみたいな感じがしました。小説と作家があまりリンクしすぎるのは僕は好きじゃないです。第二作で最初に感じたのですが、この作品を読んでさらに顕著に感じました。
自分は弱くてかよわい存在。周りには魅力あふれる男性がいて、ライバルの女性がいるみたいな。
僕の気にしすぎかな。でもここまで強く感じたのは気のせいではないような、、、。
ただ、メフィスト賞を獲っただけあっておもしろいですよ。さっき挙げた点も個人の好き嫌いの問題だと思うし。
しっかりと謎が提起されていて、その謎をとくために過去が明かされていく。心理描写含めキャラクターもしっかりと独立しています。独特の世界観もあり、校舎の雰囲気も出ている。文章構成も上手く、3分冊で手軽に読めます。
少し、伏線がどこにあったのかなという感じはしましたが、これは単に自分が気付いていないだけかも。
辻村氏を読むなら、まず僕はこれがお勧めです。
良かったら次の『子どもたちは夜と遊ぶ』を読んでみてください。
個人的にはこれが好きです。

