ということで07年に読んだ本の中で印象に残ったものをランキングにしてみました。
18作ぐらいあったので苦労した。ほとんど順位がないといってもいいぐらい均衡してましたね。
あくまで、今年読んだ本なので。僕が生まれる前に出たものもありまっせ。
18作ぐらいあったので苦労した。ほとんど順位がないといってもいいぐらい均衡してましたね。
あくまで、今年読んだ本なので。僕が生まれる前に出たものもありまっせ。
『首鳴き鬼の島』 石崎 幸二評価 ☆☆☆☆☆☆★★★★(星6個)
あらすじ
相模湾に浮かぶ資産家の私有地・頸木(クビキ)島は、「首鳴き鬼」の伝説から首鳴き島と呼ばれていた。首を切られた鬼の身体が首を求めて鳴きながら彷徨うという伝説だ。
若者向け情報誌の怪奇スポット特集の取材で、ガールフレンドとともに島を訪れた編集者・稲口は、後継者問題で資産家一族が集まる頸木島の頸木館で、伝説に見立てた連続殺人事件に巻き込まれた! 孤島、嵐の夜、そして見立て殺人……。メフィスト賞作家が久々に放つ本格ミステリ。
紹介
5年前くらいにメフィスト賞でデビューされた作家さんですが、この作品のほかに4作だしています。面白いのだけれど、どれを紹介しようかと迷っていたところにこれが出版されました。
前の4作とは違い、丁寧にまとまった構成になっています。
ミステリの黄金ともいえる、孤島ものですね。さらに見立て殺人ととてもベタな構成なのですが、職業が技術系だからでしょうか。とても丁寧に文章で説明されています。
あまりミステリを読まない方にも簡単かつわかりやすく読んでもらえると思います。
ただ、ミステリ好きには少し物足らないところもあったり。
この作品の素晴らしいところは、既存のトリックをいかに現代で成立させるか。
このポイントが一番うまく仕掛けられています。
嵐の孤島や見立て殺人や怪しい伝承など、使い古されたものの中にその現代に通用する仕掛けを入れたことによって一層光って見えます。
読者のミスリーディングもうまく、僕自身引っ掛かりながらワクワクしていました。
しっかりと期待に応えてくれるミステリだと思います。
不満な点を挙げれば、非常に淡々と進んでいるところ。連続殺人にも関わらず、全く緊迫感がありません。なくてもいいといえばそれまでなんですが。
あと、首鳴き鬼の伝承もとてもあっさりとしていて、もっと奇怪にすれば雰囲気が出てよかったのではと個人的には思います。故意か?
トリック一つというのも物足らないかもしれませんが、その一つで最後まで読ませるのも
また良さの表れじゃないでしょうか?
まだまだ、ミステリーは面白くなりそうですね。
あとは少しヒトリゴト
『そこに薔薇があった』 打海 文三評価 ☆☆☆☆★★★★★★(星4個)
内容紹介
個人的に伏せます。知りたい方はamazon等へお願いします。
感想
この作品を読み始めたとき頭の中に?マークがずっと浮かんでいた。
あらすじを読んでいたら気付いていたけれど、まったく情報もなしで読んだ僕はとまどいました。
短編集の形をとっているのですが、読み始めるとしっとりとした大人の恋愛が描かれている。
前に読んだ『一九七二年のレイニー・ラウ』を彷彿とさせるようなラブストーリーである。しかし、なぜか必ず最後に悲劇を迎えるのである。
この作品をミステリーととるかラブストーリーととるかは自由である。
ほとんどの人は読後、ミステリーやサスペンスというかもしれない。しかし、個人的には
描かれる恋愛の描写がもったいないと思うので、あらすじは伏せました。
もちろん、すぐ気付くようなものですし、ミステリーとしてはあまりにお粗末すぎる。
サスペンスにしても、あまりに恋愛の部分が魅力的すぎる気がします。別にそういうサスペンスがあってもいいのだけれど、そうすると少し雰囲気がごちゃまぜにならないか?
しかし、帯やあらすじを読む以上、これはサスペンスというものなのだろう。
正直、僕は好みではなかった。唯一、良かったのは大人の恋愛を描く文体や設定などにひきつけられたという部分。
その部分をもっと効果的にしたのが、『一九七二年のレイニー・ラウ』だ。僕はそう思う。
紹介が至らなくてすみません。
ただの読書感想文ですよね…。他のはもうちょっとましだと思うのだけれど。
僕がこの本を読んで素直に感じた部分を書いてみました。
紹介というのは難しいね
『MM9』 山本 弘評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★(星8個)
内容紹介
地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。
多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説
感想
大人が読むガメラやゴジラなどの特撮小説と言った感じです。
本来、大人になるとあるいは大人の視点でみると現実で二本足の巨大な怪獣が立てない。大きくなっても質量保存の法則があるなどのタケコプターで首が××る的なつっ込みが入ってしまうのですが、この小説はある解釈でそれをうまくカバーしています。
まぁ、とんでもない方法なんですが。
まさに、本格SF+怪獣小説と言った感じです。僕はもう読んでいて楽しかったです。
年齢的にもすでにひねくれてしまっているが故に、特撮なんてって感じでしたがこれはそういう人にもお奨めです。
この小説の世界では、怪獣災害というものがあるんです。地震とかと同じように。
で、その災害に立ち向かうのが気象庁なんですが、この有川浩の図書館戦争にも似たエンタメ設定が読みやすく、SFを読まない方にもお奨めしたい。
あるいは、テレビで年に数回やっている藤岡弘探検隊などが好きなかたもいいかも?
あれより、真面目で(隊長らは至って真面目に見えますが)、スケールも大きい怪獣ものと
いった感じです。
UFO現象などに圧倒的な知識を持ち、『神様は沈黙せず』『アイの物語』で魅せた本格SF
のテクニックがあるからこそ、書ける小説。
楽しく読めました。良かったら是非。
『ゴールデンスランバー』 伊坂 幸太郎評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(満点)
内容紹介
仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか?
感想
久しぶりの伊坂氏の書き下ろし長編。大作ですね。
最近、短編集などが多かったり、雑誌連載をまとめたものであったりしたのですが、
やはり長編には長編の面白さがあります!
ほとんどの人が知っているケネディ暗殺事件の日本版といったら良いでしょうか。
それを犯人側からの視点で描いたときの事件の恐ろしさとマスコミや権力の大きさが
うまく描かれています。もちろんケネディ暗殺の真相などがわかるわけではないので
あしからず。あくまでケネディ暗殺を絡めることでリアリティを出すといった感じです。
映画の逃亡者を想像してみてもいいと思います。
相変わらず、キャラクターはしっかりと形成され、会話の妙は若干、近作と比べると減りましたが、伏線のうまさは衰えていません。
文章や舞台設定がとてもうまいので、頭の中ですぐに映像が浮かぶでしょう。
無駄なところが一切ない綺麗な文章だと僕は感じました。伊坂らしさがとても凝縮されている
と思います。
個人的にですが、伊坂氏が新潮社から出す本ははずれなしだと思います。
『オーデュボンの祈り』『重力ピエロ』『ラッシュライフ』。
編集者が素晴らしいのか、たまたまなのか。
去年の宮部みゆき氏の『名も無き毒』を読んだときも思いましたが、
ジャンルの壁を越えて、伊坂幸太郎という唯一無二のジャンルになったといってよいのでは。
隅をつつけば色々あるかもしれませんが、伊坂氏の傑作だといえます。
これ以上いうことありません。
他の人のレビューも高得点ばかりですね〜。すごい実力を魅せられました。
『一九七二年のレイニー・ラウ』 打海 文三評価 ☆☆☆☆☆☆★★★★(星6個)
内容紹介
忘れかけた愛、消えそうな恋、成熟恋愛小説
出逢えたかもしれない、しかし現実には出逢えなかった「恋人」たちへ送る「大人の恋愛小説」。物語の主人公たちはいずれも人生の道理をわきまえてしまった成熟の世代。満たされぬ思い、退屈な日常を抱えながら、やむにやまれぬ愛の可能性に賭けていく。『ハルビン・カフェ』で大藪春彦賞を受賞した気鋭の小説家・打海文三氏、これまでミステリーのジャンルで認知されてきたが、実はその丹精な文章といい丁寧な人物造形といい、ミステリーの枠を飛び超えた妖しい魅力を放つ書き手のひとりである。
本書では書き下ろしも含め、「恋愛」をテーマにした作品を収録し、打海氏の新たな側面をクローズアップしている。
収録作品は標題作他全8編、行間に思いが湧き立つ珠玉の物語。
感想
はじめに言っておくと僕はほとんど恋愛小説を読んだことがない。だから、この本のテーマである恋愛がジャンルの中でありふれているのか、めずらしいのかわかりません。
他の作品と評価は出来ないのであしからず。もしかしたら、恋愛小説を好んで読む人には
ありきたりの内容かも。
恋愛をする人物はみんな酸いも甘いも知っている大人の男女。
現実でもたくさんいるであろう人たちが、もしかしたら発展していたかもしれない恋愛を描いた作品ですが、とても印象的な部分がありました。
それは動物的ともいえるどこか生々しい愛。
男女の会話はとても大人な言葉で書かれているが、その文字で表現しないところに
恋愛の匂いがします。それが短編を通じて感じた僕の印象です。
たぶん、恋愛も含め様々な経験をしてきた大人にとって好きだから愛し合うという風には
行かないのでしょう。一見、馬鹿みたいに見える体裁やプライドあるいは子どもなどの保守的な部分がそうさせるのでしょうか。
大人の男女が話しているシーンはとても愛の強さを感じました。
一見まともな会話をしているようで、その裏側で火花がバチッ!となっている。
こういう風に僕は感じました。
くだけて言うと、ぷんぷん匂うんですよ。ただ昔の愛や一時の恋だったのにもかかわらず
時を経て、なぜかその思いが熟成して表れるんです。
舞台として異国を背景にしているせいかもしれません。
もちろん、紹介にも言及されている著者の筆力によるところも大きいです。
今、30代以上の読者が読むとどうなるんだろうと考えました。
良かったら是非。

