G.T.T.B.A.M.

Aarchive 『2008年02』

ogawaissui-tengai.jpg『天涯の砦』 小川一水 著


評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★(星8個)

あらすじ
 地球と月を中継する軌道ステーション〈望天〉で起こった破滅的な大事故。虚空へと吹き飛ばされた残骸と月往還船〈わかたけ〉からなる構造体は、真空に晒された無数の死体とともに漂流を開始する。だが、隔離されたわずかな気密区画には数人の生存者がいた。
 空気ダクトによる声だけの接触を通して生存への道を探る彼らであったが、やがて構造体は大気圏内への突入軌道にあることが判明する……。真空という敵との絶望的な闘いの果てに、“天涯の砦”を待ち受けているものとは? 期待の俊英が満を持して放つ極限の人間ドラマ。


紹介
極限の状況下で、めぐる人間ドラマを本格SFを舞台に描いた作品。
もともとジュブナイル向けを書いていた実績もあるので、きちんとキャラクターや展開に労力を割いていて、SFを知らない方にもお奨めです。
もちろん、なぜ事故が起こったのか?や地球と月の関係などはしっかりとSFで構成されています。
この世界は、21世紀末の時代を描いているのですでに月に移住している人がいます。その月にすむ人と地球にいる人との緊張関係も関わってくる。この部分が結末に繋がるのですが、それ以外は生死をかけた人間ドラマが中心です。

事故に巻き込まれた人たちなんですが、すごく人間臭くて魅力的です。
みんなで力を合わせて頑張ろうという風にはならないのが良い。みんなそれぞれ思惑があって、摩擦するのが素晴らしい。
ひねくれた高校生も出ます。こんな状況でこいつらと一緒なんて嫌だなぁと思いながら読んでました。
大人のほうも、人生長いせいで色々な傷を背負っていて魅力的です。そんな大人同士が一緒に生きようとすることで、影響されて成長していく過程が素晴らしい。

映画の『アポロ13』とか好きな方にお奨めしたい。『アルマゲドン』の宇宙でのシーンもこんな緊張感があった気がするな〜。

是非どうぞ。
mituda-kubinasi.jpg『首無の如き祟るもの』 三津田 信三 著


評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(星9個)

あらすじ
一族の安寧を祈る祭りの最中に双子の妹が首のない死体となって発見される。それが連鎖するかのように連続首無し殺人事件となって、山間の村を恐怖に陥れた。茫然自失の驚愕トリック!シリーズ最高峰!

紹介
ミステリという以上、内容には気をつけなければいけないので、どうしても表面的にさらっと
紹介せざるおえません。

感想だけで言えば、とてもすごいミステリだという感じです。でもそれだけじゃ、伝わらない
ので、もう少し詳しく。
あらすじを見たら、あの横溝氏のような怪奇があるのか?と思われそうですが、実際は
どうでしょうか?
恥ずかしながら横溝氏の作品を読んだことがないので比較できませんが、この首無は
あくまで怪奇ものを題材にした本格的なミステリーだと僕は思います。

十人十色なのかもしれませんが、どうも怪しげな雰囲気が感じられないんです。
人物の会話や情景描写がどうも説明口調だし、閉鎖的な村の感じがありません。だから、横溝風なものを期待すればがっくりしてしまうかも…。あくまで飾りという印象を受けました。

まぁ、横溝作品を知らない僕が言うのも馬鹿なことかもしれませんが、ただ、怪奇ものというだけで比較するのは少々安易すぎるのではという印象もあります。他のミステリ作家にもさんざん使われていますしね。それとも、著者が横溝氏を意識しているという風に言っているのかな?

話を戻しますが、その飾りを付けている核の部分が、素晴らしいトリックなんですよ。
別に真新しいというわけではないのですが、バランス良く織り交ぜて融合している部分が素晴らしい。メタトリックもこれだけだと、個人的に馬鹿らしく感じるのですが、丁度良い具合に織り込まれてます。

評価の星9個はこの部分で9個です。いや、まだまだミステリーは頑張れると思いました。
首無は去年の本ですからね。この時勢にこれほど喜ばせるトリックがまた表れると思うと
ウキウキします。

だから、ミステリー好きやトリックを味わいたい方には大推薦。もしくは本格ミステリーってどんな感じ?と思う方にはお奨めしたい。
要は、横溝さんのような怪奇幻想が好きな方は京極夏彦さんがまだ合うのでは?と
思うし、純粋なミステリーを楽しみたい方にはこの作品をお奨めしたい。
ただ、三津田氏は他のシリーズもあるのでそちらはもっと雰囲気が出た作品かもしれません。
未読なので確かなことはいえませんが、そちらを読むと合う可能性もありますね。

ものすごく偏見に満ちた意見ですが、僕はミステリーっていうのは読んでると作者の騙してやろうみたいな意図が感じられるのがミステリーだと思ってます。
だから、この作品はそれを感じたのでそこを推しました。

なかなか読者を選んでしまうかもしれませんが、去年出たミステリー作品の傑作だと僕は思います。実際、本格ミステリーBEST10の二位ですしね。

あとは少し僕のヒトリゴト。
hirosetadasi.jpg


あと一冊で揃う 『エロス』

探し始めて一年ちょっとか。
あるもんだね〜。絶対手に入らないと思ってたけど。

あとでまた更新予定…たぶん
20080209yuki1.jpg
20080209yuki2.jpg


今日の京の都

起きたらびっくり。関西はどこもそうだったのかな??

あのシンとした空気は久しぶりでしたね〜。



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