『アイの物語』 山本 弘 著2007-09-13(Thu)

ai『アイの物語』 山本 弘 著


評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(満点)


あらすじ
数百年後の未来、機械に支配された地上で出会ったひとりの青年と美しきアンドロイド。
機械を憎む青年にアンドロイドが囁く、「物語から、この美しい世界は生まれたのよ」と。彼女が語り始めた、世界の本当の姿とは?
彼女が語る物語にヒトとAIの愛の歴史がある。その歴史は、人間同士の愛のように拒絶や依存そして、愛情が刻まれている。

『SFが読みたい! 2007年版』 国内SF第2位
『本の雑誌』2007年1月号〈本の雑誌が選ぶ2006年度ベスト10〉第3位
〈2006年度SFベスト10〉(鏡明)第3位
〈2006年度エンターテインメントベスト10〉(北上次郎)第2位

書評
SFを普段読まない方や僕のように読み出した方にお奨めの一品です。
『神は沈黙せず』のほうもお奨めなんですが、少し根気が必要だと思うのでこちらを紹介。
内容は連作短編集と言ってもよいでしょう。美しいアンドロイドが青年に話す7つの物語。
それはすべてヒトとAIの物語です。その物語を青年に話し終えたときに、7つの物語の意味や伝わらないAIの思いが浮き彫りになります。

一気に読めなくとも一つ一つ区切りながら読んでも素晴らしい作品です。
青年と同じように、一日に一つよんで、寝る前にその話を吟味するのもまた一興でしょう。

この現代でさえ、人工知能は一般レベルで興味のある話題だと思いませんか?
それこそ、本当に感情をもてるのか?あるいは人工知能はどの時点でAIと
定義されるのか?そして、もし感情というようなものを持ったら、彼らは
この世界をどのように感じ、接していくのか?

などふと疑問に思う方は是非読んでみてください。
もちろん、その答えが書いてあるわけではありません。しかし、その考えのきっかけやヒントになることでしょう。

そして、なによりもAIによって浮かび上がる人間の醜さや愛情の深さがとても印象的です。
あくまでAIの物語ですが、ヒトが作ったという「人工」である以上、ヒトとAIの関係は断ち切れません。

たぶん、読む人は青年と同化することになるでしょう。
青年は読者的視点に立っています。そして、その青年の立場になって物語を聞き終えたときに素晴らしい気持ちに浸れると思います。

活字が連なり、物語が紡ぎ、感情を浮かび上がらせる。

小説の面白さがあじわえる作品だと思います。
少し、難しい言葉もありますが問題はないと思う。
むしろ、何度も読める小説。話一つ一つのテーマが異なるので、
あなたの人生経験などによって好きな物語は変わってくるでしょう。

是非とも読んでみてください。

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