『一九七二年のレイニー・ラウ』 打海 文三2007-12-14(Fri)
『一九七二年のレイニー・ラウ』 打海 文三評価 ☆☆☆☆☆☆★★★★(星6個)
内容紹介
忘れかけた愛、消えそうな恋、成熟恋愛小説
出逢えたかもしれない、しかし現実には出逢えなかった「恋人」たちへ送る「大人の恋愛小説」。物語の主人公たちはいずれも人生の道理をわきまえてしまった成熟の世代。満たされぬ思い、退屈な日常を抱えながら、やむにやまれぬ愛の可能性に賭けていく。『ハルビン・カフェ』で大藪春彦賞を受賞した気鋭の小説家・打海文三氏、これまでミステリーのジャンルで認知されてきたが、実はその丹精な文章といい丁寧な人物造形といい、ミステリーの枠を飛び超えた妖しい魅力を放つ書き手のひとりである。
本書では書き下ろしも含め、「恋愛」をテーマにした作品を収録し、打海氏の新たな側面をクローズアップしている。
収録作品は標題作他全8編、行間に思いが湧き立つ珠玉の物語。
感想
はじめに言っておくと僕はほとんど恋愛小説を読んだことがない。だから、この本のテーマである恋愛がジャンルの中でありふれているのか、めずらしいのかわかりません。
他の作品と評価は出来ないのであしからず。もしかしたら、恋愛小説を好んで読む人には
ありきたりの内容かも。
恋愛をする人物はみんな酸いも甘いも知っている大人の男女。
現実でもたくさんいるであろう人たちが、もしかしたら発展していたかもしれない恋愛を描いた作品ですが、とても印象的な部分がありました。
それは動物的ともいえるどこか生々しい愛。
男女の会話はとても大人な言葉で書かれているが、その文字で表現しないところに
恋愛の匂いがします。それが短編を通じて感じた僕の印象です。
たぶん、恋愛も含め様々な経験をしてきた大人にとって好きだから愛し合うという風には
行かないのでしょう。一見、馬鹿みたいに見える体裁やプライドあるいは子どもなどの保守的な部分がそうさせるのでしょうか。
大人の男女が話しているシーンはとても愛の強さを感じました。
一見まともな会話をしているようで、その裏側で火花がバチッ!となっている。
こういう風に僕は感じました。
くだけて言うと、ぷんぷん匂うんですよ。ただ昔の愛や一時の恋だったのにもかかわらず
時を経て、なぜかその思いが熟成して表れるんです。
舞台として異国を背景にしているせいかもしれません。
もちろん、紹介にも言及されている著者の筆力によるところも大きいです。
今、30代以上の読者が読むとどうなるんだろうと考えました。
良かったら是非。
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