『首鳴き鬼の島』 石崎 幸二2007-12-29(Sat)
『首鳴き鬼の島』 石崎 幸二評価 ☆☆☆☆☆☆★★★★(星6個)
あらすじ
相模湾に浮かぶ資産家の私有地・頸木(クビキ)島は、「首鳴き鬼」の伝説から首鳴き島と呼ばれていた。首を切られた鬼の身体が首を求めて鳴きながら彷徨うという伝説だ。
若者向け情報誌の怪奇スポット特集の取材で、ガールフレンドとともに島を訪れた編集者・稲口は、後継者問題で資産家一族が集まる頸木島の頸木館で、伝説に見立てた連続殺人事件に巻き込まれた! 孤島、嵐の夜、そして見立て殺人……。メフィスト賞作家が久々に放つ本格ミステリ。
紹介
5年前くらいにメフィスト賞でデビューされた作家さんですが、この作品のほかに4作だしています。面白いのだけれど、どれを紹介しようかと迷っていたところにこれが出版されました。
前の4作とは違い、丁寧にまとまった構成になっています。
ミステリの黄金ともいえる、孤島ものですね。さらに見立て殺人ととてもベタな構成なのですが、職業が技術系だからでしょうか。とても丁寧に文章で説明されています。
あまりミステリを読まない方にも簡単かつわかりやすく読んでもらえると思います。
ただ、ミステリ好きには少し物足らないところもあったり。
この作品の素晴らしいところは、既存のトリックをいかに現代で成立させるか。
このポイントが一番うまく仕掛けられています。
嵐の孤島や見立て殺人や怪しい伝承など、使い古されたものの中にその現代に通用する仕掛けを入れたことによって一層光って見えます。
読者のミスリーディングもうまく、僕自身引っ掛かりながらワクワクしていました。
しっかりと期待に応えてくれるミステリだと思います。
不満な点を挙げれば、非常に淡々と進んでいるところ。連続殺人にも関わらず、全く緊迫感がありません。なくてもいいといえばそれまでなんですが。
あと、首鳴き鬼の伝承もとてもあっさりとしていて、もっと奇怪にすれば雰囲気が出てよかったのではと個人的には思います。故意か?
トリック一つというのも物足らないかもしれませんが、その一つで最後まで読ませるのも
また良さの表れじゃないでしょうか?
まだまだ、ミステリーは面白くなりそうですね。
あとは少しヒトリゴト
ふと本格ミステリについて考えてみる。
よく使われている言葉だが、明確な定義がなされていないような…
たぶん、作家や書評家によって少し定義が違うんだろう。
雑誌なんかで作家が本格ミステリという言葉を使っているのを読むと
あなたのいう本格ミステリってなんだよ?と思ってしまう。
僕個人もなんとなく定義はしているんだけれど、深く探求はしていない。
たぶん、謎解きの面白さや論理的だと思わせるような解答で引っ張っていくものっていう感じ?
あと、奇怪な雰囲気も必要かな。
たぶん、島田荘司氏のアトポスや龍臥亭事件を基準にしている。
ただ、島荘が好きなだけだと言われればそうだが。
僕みたいなあまり何も考えずに読み進めるミステリ読者は、本格を書く作家にとっては
邪魔なだけなのだろうか。容疑者Xの本格論争を少し調べてみてそう思った。
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