『老ヴォールの惑星』 小川 一水2007-03-21(Wed)
『老ヴォールの惑星』 小川 一水評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆(星9個)
内容
4編を収録した中編集。テーマとしては、環境が主体にどう影響し、主体はどのように進化していくか。
迷宮の牢獄に放り込まれた人間が、生きるためにいかにその中で社会を形成していくかを描いた「ギャルナフカの迷宮」、ガス惑星に住む奇妙な知性体が、世代を超えて進化への道を歩む表題作「老ヴォールの惑星」、現実とは何なのか?仮想現実と現実の違いは?といったテーマで描かれた未知との遭遇もの「幸せになる箱庭」、陸地がなく夜もない海の中で、救出もない。その中で唯一、人と対話できる通信機だけで生き抜く男の物語「漂った男」
2006年第37回星雲賞日本短編部門
小川一水公式ページ→こちら
ハヤカワ文庫JA(Japanese Author)から出ています。720円
書評
飛浩隆氏の『象れられた力』とともにお奨めする中編集の傑作です。
小川一水氏は、ライトノベル出身でもあるので、とても読みやすいです。初心者にとても向いてるでしょう。もし、僕がSF作品を紹介してと言われたら、この本にしますね。
それぐらい抵抗なく読めます。テーマとしてもそこまで難しくないものなので。表題作と「幸せになる箱庭」が少し、変わっていて慣れていないかもしれませんが、これこそSFといった感じで素晴らしいです。
個人的には、「ギャルナフカの迷宮」のほうが表題作っぽい名前のような気がしたのですが、今思えば、このタイトルと表紙でよかったなと思います。読んでみれば、僕の言っていることはわかるでしょう。
「漂った男」は、筒井康隆氏のようなブラックユーモアを少し感じた作品でもありましたね。解説では、星新一氏を挙げてました。
「幸せになる箱庭」は、神林長平氏の『天国にそっくりな星』や『マトリックス』が好きな方は好きだと思います。テーマも似たような感じなので。
総合して言うと。
ライトノベル出身だけあって、読みやすい。使われている単語も専門用語ばかりではないのでわかりやすい。テーマもそれほど突飛なものではないので理解しやすいといった感じで初心者の方も楽しめるでしょう。ただ、中身はしっかりとSF作品なので、SFを十分に味わえると思います。
ベテランの方はこの作品のどこを評価するんでしょう?初心者の僕はちょっとわからないですね。
これが気に入った方は小川氏の長編『第六大陸』をお奨めします。『プラネテス』を好きな方も是非どうぞ。表紙はプラネテスを書いてる幸村誠氏ですよ☆こちらも星雲賞長編部門を受賞しています。
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